ザビ家(ザビけ、Zabi Family)は、「ガンダムシリーズ」のうち、アニメ『機動戦士ガンダム』にはじまる宇宙世紀を舞台にした作品に登場する、架空の人物の一族。ジオン公国の中枢を担う一族である。
ザビ家の人間は画面に登場した人物以外にも多数存在するとされるが、通常は以下の7人を指す。
わっしょい ダード オフコ 検索村祭 コーヒー ビザウェー マンボン カイモ ハイス レザーク スパイ ナイジェ ループ ファンベト 私が主役 デイラ ストライカー キシング クアハ ワンシ ハイソ メタフ ツーロン ワイキキ デリカシー メモリ セッショ メタノール マイカ タチバナ ストレート リポート ジャンダ トメーシ オブシデ メダル サージ グリース シーモス ロビイング ドライブ ルレット シェンド ツイード スーサ クロス わっさむ レーキ ニーム トーチャー
デギン・ソド・ザビ
Degwin Sodo Zabi
声:永井一郎(TV版)/ 藤本譲(劇場版I)/ 柴田秀勝(劇場版III・特別版I / III)
ジオン公国公王でギレンらの父。放映開始時の年齢は62歳。ジオン・ズム・ダイクンの死後ジオン共和国に公国制を敷き、絶対君主制を固めたが、その後実質的に隠居した状態になっていた。政治的には穏健派の立場を取り、急進的なギレンと対立する。乗艦はグワジン級戦艦1番艦グレート・デギン。(通常は量産1番艦がネームシップとなるが公式にも『グワジン級』が形式名称)
彼にはギレン(総帥、長男)、キシリア(長女)、サスロ(次男)、ドズル(三男)、ガルマ(四男)、の5人の子がいる(テレビ版の準備稿ではミハル・ザビという娘もいた)。妻はナルス(ナリスとする説あり)だが子の母親に関しては諸説ある。なお、サスロとナルスに関しては一年戦争前に死亡しているため『機動戦士ガンダム』には登場しない。
かつてはジオン・ダイクンと盟友関係にあり、0058年のジオン共和国宣言時には地球連邦軍駐留部隊の切り崩しに尽力した。また、連邦軍に対抗するために、共和国宣言時に成立したジオン国防隊を0062年にジオン共和国軍に昇格させ、軍事力の強化に努めた。このようなデギンの軍事路線はダイクンにとって認め難いことだったが、連邦へ対抗するために容認せざるを得なかった(なお、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、連邦政府との軍事衝突も辞さずという強硬な態度をとっていたのはむしろダイクンの方で、デギンは非戦派だったという新解釈が採られている)。
だが、0067年に連邦政府のコロニー自治権整備法案が廃案となると、両者の対立は強くなり、0068年にダイクンは急死してしまう。これはデギンとギレンによる暗殺とするのが一般的である。ジオン共和国初代首相だった病床のダイクンにより次期首相に指名され(これには、この先起こるであろうダイクン派とデギン派の抗争を避ける為に、後継者にデギンを指名したという説と、「自分を暗殺しようとしたのはデギンだ」と教えようとしたダイクンの行動をデギンが巧妙に利用したとの説がある)2代目首相となると、ダイクン派(旧ジオン派)を粛清して全権を掌握し、0069年8月15日に公国宣言を行い、ジオン公国初代公王に就任した。しかし、妻ナルスがガルマを生んだ際に死亡しており精神的な支えとなる存在がないこと、さらにはダイクン暗殺の報復として次男サスロが車に仕掛けられた爆弾テロにより暗殺(ジンバ・ラル謀略説、キシリア謀略説あり)されたことから、徐々に憔悴していく。また、ダイクンを打倒して頂点に立ってしまったことで功成り名を遂げた後の虚無感に襲われるようになり、全権を子供達に譲り政治的に隠居した状態になってしまった。その後ギレンは軍事独裁路線を推し進めるが、デギンはこれをよしと思わなかった。また、ギレンと政治的に対立し、彼と同じく強硬な独裁路線をとるキシリアのことも好ましく思っていなかったようである。
0079年1月3日、ジオン独立戦争、後の一年戦争が始まったが、デギンにとってこの戦争の目的はあくまでジオン公国を地球連邦と対等な関係の、完全な独立国家としての主権を連邦に認めさせることにあった。しかし、ギレンは当初これを認めていたものの、後に完全に地球連邦を征服した上での、選ばれた優良種たるジオン国民による全人類の管理・運営を目的とするようになった。そのためギレンにとって父デギンは次第に邪魔な存在になっていく。
上記のような経緯から、デギンは猛々しい性格のギレン・キシリア・ドズルを疎み、ガルマを溺愛していたが、ジオン独立戦争が予想外の長期にわたりガルマは地球で戦死してしまう。デギンはその一報を聞いた際に、持っていた杖を使者の前で取り落とすほどの衝撃を受けたと言われる。彼はガルマの密葬を望んだが、ギレンは国葬としてプロパガンダに利用し、両者は対立を深めていく。これ以降、デギンはギレンの独裁を抑えるため、ギレンとキシリアの政治的対立を防ぐために、首相のダルシア・バハロに命じ、密かに連邦との講和を図った。
その後、ソロモン陥落に際し三男ドズルまでも失うが、ガルマの死で涙も尽き果てていたのか「ドズルにしてもっともなことであるよ」と呟くのみだった。ギレンによる軍最優先政治が数百万人を超えるコロニー住民の強制疎開にまでエスカレートし、ソーラ・レイを使用した強引なア・バオア・クー最終決戦を目論んだ時点で亡国の危機感を強め、ギレンを中世紀の独裁者アドルフ・ヒットラーになぞらえ「ヒットラーの尻尾」と揶揄している。なお、この後の台詞がTV版では「ヒットラーは敗北したのだぞ」から、劇場版『めぐりあい宇宙編』では「ヒットラーは身内に殺されたのだぞ」と現代(20世紀末~21世紀初頭)の標準的な学説、歴史観とは食い違うものに改変されていたが、その後キシリアにギレンが暗殺されたことを考えると、この台詞はギレンの末路をより的確に言い表していたものといえよう。
ア・バオア・クーでの決戦の直前に至り、自ら和平交渉を進めるために独断で旗艦グレート・デギンに乗り込みレビルが率いる地球連邦軍の主力・第一艦隊との接触を図る。だが、自らの戦略に逆らう老いた父へ見切りをつけたギレンは、グレート・デギンの存在を承知の上でソーラ・レイの発射コースをゲル・ドルバ照準に最終設定する。宇宙世紀0079年12月30日作戦時間21:05、指示通りゲル・ドルバ照準で発射されたソーラ・レイの直撃を受け、デギンは敵将レビルと共に光の渦に呑み込まれて死亡。小説版ではソーラ・レイの標的として狙われたのがキシリアとなっており、既に傀儡と化していたデギンはギレンに存在を無視されていたのと自ら和平交渉に向かうような目立つアクションを起こさなかったことが幸いし、無事に生き残っている。
なお『THE ORIGIN』では、先述のようにデギンは戦争による膨大な犠牲や連邦とジオンの国力差を懸念して、開戦前より強硬に戦争に反対していたとの解釈が採られている。ルウム戦役後、デギンはレビル奪還作戦の手引きをし、恩を売る形で彼に和平を働きかけて欲しいと願ったが、そのレビルが帰還後に恩を仇で返す形で戦争継続の声明を出した(“ジオンに兵なし”の演説)ため、激しく憤っている。その憤怒は演説の中継を映すモニタのリモコンを叩き壊し、さらに「軍人にすべきではなかった」とまで思っていたガルマに対して「徹底的に連邦を叩け」と発言したほどだった。ちなみに、デギンの容貌は、TV版当初は下膨れだったが、ORIGIN版では細面気味で鼻が大きく描かれるようになった。
ゲーム『ギレンの野望』においてはジオン編の全モード(ジオン公国、正統ジオン、新生ジオン、ネオジオン、アクシズ)をクリアすると特別編として「デギンの憂鬱」というシナリオを体験できる。これはザビ家の内輪もめ、より封建国家という世界を強調した「お家騒動」のストーリーであり、キシリアの正統ジオン、ガルマ・ドズルの新生ジオンにジオン軍が別れて三つ巴の戦いを繰り広げるという設定になっており、まさに父親のデギンが存命なら間違いなく頭を抱えるシナリオと呼べる出来栄えとなっている(デギン自身は登場しない)。
en:Degwin Sodo Zabi
ギレン・ザビ
Gihren Zabi
声:田中崇(現:銀河万丈)
ジオン公国の総帥にして階級は大将。デギンの長男。放映開始時の設定上の年齢は35歳。身長190cmの長身。少年時代から政治活動に参加し、デギンの隠退後は、ジオン公国の実質的最高指導者(総帥)となっていた。ガンダムの世界において彼の唱えた政治思想や世界観は巨大な影響力を持ち、次世代にまで波及していった。乗艦は不明(グワジン級戦艦グワデン説あり。ただしグワランなどにも坐乗していたことがあるらしい)。
青年時代に父デギンと共に、ジオン・ダイクンの指導する革命運動に参加。デギンの隠退後は、ジオン公国の全権を掌握し事実上の最高指導者として君臨する。IQ240の天才で沈着冷静であるが、非情かつ高慢な性格。宇宙世紀0071年にサイド3国民の優秀さを讃え、彼らが選ばれたエリートであるとする選民思想の色合いが強い著書「優性人類生存説」を発表。アースノイドやスペースノイドの大多数には非難されたが、連邦政府の政策に強い不満を持っているサイド3国民からは熱狂的支持を受けた。雄弁家でもあり、アジテーターとしても超一流で、持てる才能を遺憾なく発揮していた。デギンの反対を押し切り、国民の戦意高揚のために末弟ガルマの国葬を利用したところにもそれが現われている。ニュータイプについてはそれほど深い理解や共感を持つことは無く、あくまで政略・戦略のために「木星帰りの男」シャリア・ブルなどを起用したに留まる。戦争をジオンの勝利に終わらせた後、自らが地球圏を管理・運営しながらゆっくり人類のニュータイプへの覚醒を待つつもりでいると語っている。
彼の政治思想は、一種の理想主義、選民思想である。スペースノイドは選ばれた民であり、更にその中の優良種がジオン国民であると主張し、国民を煽動した。ギレンは総帥という立場から主に政治に専念することが多く、軍事については弟ドズル・妹キシリアに任せていた。しかし一年戦争開戦当初の電撃作戦や地球侵攻作戦、ア・バオア・クー攻防戦の発案者はギレンであり、その指揮も直接ギレンが執った。一年戦争初期には、サイド3(ジオン公国)以外のスペースコロニーに対する毒ガス攻撃を行い、さらにそのコロニー自体を質量兵器として地上に落下させる「ブリティッシュ作戦」により、地球圏総人口の半数を死に追いやった。このような大量虐殺作戦の背景には、地球環境の保全には選ばれた民による支配が必要であり、増えすぎた人口は調節されなければならないという思想がある。地球圏は選ばれた民により支配されなければならないとする考えは、後のティターンズ指導者ジャミトフ・ハイマンなどにも多大な影響を及ぼしている。しかし、彼に匹敵するスケールの政治ビジョンやカリスマ性を兼ね備えた指導者はその後現れていない(敢えて挙げるなら、皮肉にもネオジオン時代のシャアがそれに相当すると言える)。
デギンからは、「ヒットラーの尻尾」と評され、その急進性を危惧されていた。また、妹のキシリアとは政治的に競合する立場にあり、反目し合っていた。尤も、ギレンは自らの才能と政治思想に絶対の自信を持っており、キシリアなど歯牙にもかけていなかった。彼女が裏であれこれ画策するのを半ば放置していたのも、軽視の表れであろう。
一年戦争末期ア・バオア・クーにおいて連邦軍との最終決戦を目論むが、デギンは事態を憂慮し独断でグレート・デギンに座乗して連邦軍との和平交渉に赴く。自らの戦略に従わない老いた父を完全に見限ったギレンは、グレート・デギンの進路こそレビルが率いる連邦軍の主力・第一艦隊の進攻コースと読む。そして和平交渉が始まる前に事を決しようと、予定を大幅に前倒ししてソーラ・レイをゲル・ドルバ照準に最終設定し作戦時間21:05に発射を指令、レビル将軍もろとも父デギンまでも謀殺した。しかし、ゲル・ドルバ線上からグレート・デギンの識別信号が確認されたとの報告を受け、ギレンが父を殺したと知ったキシリアにより、宇宙世紀0079年12月31日、「父殺しの男」としてア・バオア・クー攻略戦の作戦指揮中に射殺された。この際もキシリアに無防備に背中を見せ、銃口を向けられても「冗談はよせ」と一笑に付していたが、その余裕の姿勢が仇となった。以上の、言うなれば「お家騒動」は敗戦の要因の一つとなった。
なお、小説版では最終決戦時に宇宙要塞ア・バオア・クーではなく、サイド3のズム・シティで作戦指揮を執っている。ア・バオア・クーを囮にして、味方をも巻き込みつつマハルのソーラ・レイを放って政敵キシリアをも亡き者にせんとするなどTV版を超える極悪ぶりが目立っていた。最期はシャアやカイらニュータイプを引き連れたキシリアにズム・シティへ乗り込まれ、彼女の「ビーム・ライフル」で射殺される。
「トミノメモ」に於いてはグラナダ陥落後、キシリアの死後も生き続け、正面から連邦軍との戦いに臨んでいる。シャアの正体を知っても抹殺せず、使える限りは戦力と認める鷹揚さを見せている。積極的にニュータイプを前線に送り出しているのもTV版とは異なる。
その死後も、彼の思想を熱烈に信奉する集団によって動乱は続いた。宇宙世紀0083年には、エギーユ・デラーズ率いるジオン軍残党勢力デラーズ・フリートが決起し、コンペイトウ(ソロモン)宙域で挙行された観艦式の核兵器による襲撃に続いて北米へのコロニー落とし(星の屑作戦)を決行した(『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』)。また、0088年の第一次ネオ・ジオン抗争においては、ネオ・ジオン(アクシズ)勢力内のグレミー・トトがギレンのクローンを名乗っている。(『機動戦士ガンダムΖΖ』)
なお、女性関係は希薄だったらしい。妻がいたとされるが不仲だったといい、公の場には姿を現しておらず、記録も全く残っていない。小説版では秘書のセシリア・アイリーンと愛人関係であるとされている。なお、クラウレ・ハモンとも愛人関係にあったとする説もあるが、これは小説版から来た設定である。趣味嗜好については、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の「シャア・セイラ編」にて高所鋏を手に庭園の手入れを行っているシーンがある。
膨大な人命を奪った一年戦争を引き起こし、国民を巧みな弁舌で扇動した事でアドルフ・ヒトラーと並ぶ独裁者と称されている。監督である富野はアフレコの際に声優の田中崇(銀河万丈)へ「ヒトラーのように喋ってくれ」と注文をつけたというので、ヒトラーをモデルに描いたのはほぼ確実であろう(もっとも父デギンの言葉である「ヒットラーの尻尾のようなもの」には、「ギレンはヒトラーにはなりきれない」というニュアンスも感じさせる)。「ぴあMOOK 愛と戦いのロボット 完全保存版」に掲載された読者アンケートにおける「一番極悪な悪役・敵役は?」の項目で、ダントツの1位に選ばれている。尤もこの結果には『機動戦士ガンダム』という作品自体の知名度が大きく影響してはいるが、いずれにせよ、ギレンが日本のアニメを代表する悪役スターの一人である事は確かである。またゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズでその名をタイトルに冠されている事実からも人気の程が窺える。
因みに、TV版のリアルタイム放送時にはザビ家一党の中で唯一人だけ安彦良和作画の回に登場していない上に、出番は序盤と終盤のみということで単なる悪役キャラの域を出ず、当時のシャア人気に比べれば突出した人気は無かった。今日のカリスマ的悪役としての人気を確立しえたのは、ひとえに劇場版3部作(第1作と第3作)の影響である。
なお、彼がガルマ国葬やア・バオア・クー防衛戦時の演説で、国民・将兵・信奉者を鼓舞する為に叫んだ言葉「ジーク・ジオン(Sieg Zeon)」は、かつてヒトラー率いるナチスのスローガンだった「ジークハイル(Sieg Heil:ドイツ語で「勝利万歳」の意)」に因んだ物である。特にガルマ国葬での演説は劇中でも屈指の名シーンの一つで、彼の人気の一因となっている。OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』第1話のラストにおいても(新規作画・銀河万丈による新録で)挿入され、話題を集めた。さらに、OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO』でも、上記のア・バオア・クー防衛戦時の演説で声のみ出演した(同じく新録)。
キシリア・ザビ
Kycilia Zabi
声:小山茉美(旧:小山まみ)
ジオン公国軍突撃機動軍司令で階級は少将。デギンの長女。年齢は29?34歳(小説版では24歳)。
ギレンとは政治的に、ドズルとは軍事的に対立していた。乗艦はグワジン級戦艦グワジンあるいはグワリブ。末弟のガルマに対しては自分への忠誠心を持つようにある程度優しく接して利用していたようでもある。常に顔の下半分を覆うマスクをしている(公式には放射能焼けを防ぐため)が、その理由は戦場の血の臭いを嫌悪しているからだとも、女を捨てたからだとも言われている。兄ギレン同様、家族を始めとする他者を政治的な力関係でしか判断しない冷徹な人物と見られるが、少なくともガルマの葬儀に中々出ようとしないデギンに労わりの言葉をかけ、ギレンが父デギンを暗殺したことを知った際に見せた怒りは演技ではないと思われる。その点では、ギレンよりは多少人間性の強い側面を持っていると言える。もっとも、父を大切に思う娘の気持ちはしっかりと伝わっていたとは言いがたく、デギンはギレンに対する忠告を行なった際に「キシリアは何を考えるのか」と未来への危惧を一人ごちている。なお、腰だめ撃ち用のレーザーガンは彼女とシャア以外には装備を確認された人物はいない。将官で普段からヘルメットを着用しているのも例を見ないいでたちである。
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、手袋が白から黒に変るなど若干の変更が成されている。ジオン黎明期から政争に明け暮れた冷酷な野心家としての面が目立っており、それ故に成された行動には枚挙に暇がない(この時点ではギレンはほとんど目立った行動を取っていない)。 例えば、次兄サスロの暗殺については作中では明記されていないが、サスロ死亡時に慌てた様子がなく、彼女が些細な諍いからサスロを暗殺した犯人である可能性が示唆されている。また、キャスバルを暗殺するために、多数の乗客の乗る宇宙船をテロか事故に見せかけて爆破している。なお、キャスバルは自分によく似た友人シャア・アズナブルとすり替わって難を逃れた。 また、10歳にしてダイクンの後継者として毅然とした態度を見せたキャスバルに畏れを抱き、一方で後に成長した彼のジオン入国を察知して暗殺命令を出した際には、「無名で朽ち果るつもりなら生かしておいた物を」と自身に言い訳するかの様な独白を発しており、畏れながらもキャスバルに惹かれる所があった事を伺わせている。「シャア・セイラ編」では髪が短く両側に跳ね上がっているなど容姿が若干異なっており、マスクを着用しておらず、ギレンにもへりくだる態度を見せていたが、「ルウム編」ではアニメ版のスタイルになっており、ギレンに対して平然と言い返すなど恐れをみせなくなった。一方ではアニメ版よりもデギンを敬愛している姿が強調されており、ルウム戦役後にデギンから「いざという時はギレンを止めてくれ」と嘆願されている。
若くして政治に目覚めており、長兄ギレンに対抗するため軍事力や政治ルートなどを独力で確立する必要があったが、これは正攻法では困難だった。そのためか、モビルスーツやニュータイプなど新しいものに目をつける傾向が見られる。大佐時代の宇宙世紀0078年10月には、モビルスーツ戦の利点を説いて宇宙艦隊を重視していた三男ドズルと対立し、両者とも自説が容れられなければ軍籍を離脱するとまで発言している。結局ギレンの調停により、ジオン公国軍はドズルの指揮する宇宙攻撃軍とキシリアの指揮する教導機動大隊をベースとした突撃機動軍に分裂することとなった。なお、一年戦争中にも戦略海洋諜報部隊の本拠となるキャリフォルニアベースの取り扱いについてドズルと対立。ドロス級大型輸送空母ドロワ(ただし未完成)を譲ることでドズルの譲歩を得ている。
長兄ギレンと政治的に反目する過程で、自己の政治勢力を拡大することに腐心していった。月の裏側、グラナダ基地を根拠地とし、末弟ガルマ・ザビ麾下の北米方面軍によって北米大陸を押さえる一方、そのガルマの死を怒るドズルによって左遷されたシャアを登用してマッドアングラー隊(大西洋潜水艦隊)を預けたり、腹心マ・クベ大佐を地球に派遣して中央アジア(オデッサ)を中心に鉱物資源を採掘させるなどした。サイド6の中立化政策も彼女の発案とされている[要出典]。ニュータイプに対しても一定の理解があり、フラナガン機関を創設した。とはいえ、これはニュータイプの概念を理解したというよりも、兄ギレンに対抗する政治的発言力を強化するための手段としか考えていなかったようである(少なくともシャアはそのように考えていたようであり、この点では彼女はギレンと変わりはない)。
シャアとは、彼がダイクンの息子キャスバルだった時に「幼い頃に遊んでやった」間柄でもあり、後にその正体を見破るが、彼の目的がザビ家打倒からジオニズム実現へと移行しているとの言質を取った上で、逆に自分の懐刀として使うことを伝えている。彼女が「シャア=キャスバル」であることを悟った際の心理は小説版で詳細に描写されており、劇場版もこれに準じている。幼いキャスバルの聡明さを愛していたせいか、その正体を知りながらもシャアに対する信頼は篤く、政治的計算の他にも期待するところが大きかったようである。
宇宙世紀0079年12月31日、長兄ギレンが父デギンを謀殺したことを知り、これを機に宇宙要塞ア・バオア・クーの戦いの最中に司令部でギレンを射殺。兄に代わって総司令となるが、皮肉にも戦況はこの暗殺による指揮系統の一時的な混乱を契機としてジオン軍の敗色が濃厚となる。
戦局が絶望的となった時点で、司令部のトワニング大佐(若しくは准将、少将説もあり)に事後処理を任せ、ザンジバル級機動巡洋艦(艦名はズワメルとする説がある)で脱出を図るが、発進寸前にシャアがブリッジに向けて放ったバズーカの直撃によって死亡。なお、艦も出港と同時にサラミスの砲撃で撃沈しており、どの道脱出は不可能だった可能性も高い。最期の瞬間、自分に砲口を向けるシャアを確認した時の表情は驚愕に充ちたものだった。これはこのとき、彼女はシャアが搭乗していたMSジオングからの識別信号が途絶した報告をされており、シャアを戦死したものと思っていたこともあるだろう。
一年戦争終結当時、キシリアの死をもってザビ家の血筋は絶えたと思われたため、ザビ家とジオン公国は完全に崩壊したと見られた。
小説版では、ランバ・ラルとハモンから受けた警告に従ってア・バオア・クーの宙域を直ちに離脱したことにより、ギレンが連邦軍とキシリアを同時に屠ろうとしたソーラ・レイの直撃を辛くも逃れている。その後怒りに燃えてシャアやカイたちペガサスクルーと共にズム・シティへ乗り込み、追い詰めたギレンをシャア専用リック・ドムの掌上から「ビーム・ライフル」で射殺。しかし、直後にシャアが文字通りリック・ドムの「掌を返し」たため、地上に墜落死するという最期を遂げている。なお、小説版では彼女自身にもニュータイプの素養があったとされている。
トミノメモにおいては、ギレンを排除する暇もなくグラナダで連邦軍と交戦、自らも宇宙用アッザムでシャアとともに前線に出るものの敗北、シャアに刺殺されて生涯を閉じる。TV版と同じくシャアの正体を見抜いていたため、覚悟して彼に討たれた。
ゲーム『ギレンの野望』では、彼女を指導者とした「正統ジオン」をプレイすることが可能。ニュータイプに積極的に興味を示していた劇中の設定が反映され、ニュータイプのパイロットたちを最初から使用できる。
沖一の漫画『ガンダムパイロット列伝 蒼穹の勇者達』でのジョニー・ライデンを主役にした漫画では、ライデンが少女時代のキシリアに助けてもらったことがあり、彼がジオン軍パイロットに志願するきっかけになった憧れの女性だったように描かれている。こうしたストーリーの性格上、キシリアの容貌は従来のTVシリーズや安彦良和の漫画『THE ORIGIN』のようなきつい年増風の顔ではなく、マスクをした美女のように描かれていた。
24歳という設定は小説版のみだが、その外見からガンダム関係の漫画ではしばしば年増呼ばわりされるネタとなっている。
なお、兄弟としてキシリアとドズルのどちらが上なのかは、解釈が分かれる。「ソロモン攻略戦」で、ドズルがゼナに対して言っている「姉上のいる、グラナダに行くがいい」という台詞の「姉上」をキシリアのことと判断しているファンが多い。しかし同じ回でドズルはグラナダへの援軍要請を進言した部下に対して「キシリアへか?国中の笑いものになるわ」と答えており、明らかに「キシリアを目下」としてみている。つまり、ここで言う「姉上」とは「ゼナの姉」であって、キシリアではないとする説もある。ただし、軍人としてはドズルが中将、キシリアが少将とドズルの方が上であることから、やはりキシリアが姉で、前述の台詞はドズルが軍人的な対立と家族的な繋がりを混同しない事を示している、という解釈もある。マ・クベ大佐がゼナおよびミネバを保護していることから考えても、「姉上」は「キシリア」とすることが妥当とする意見もある。